タイガースの「敗因」


 子どもの頃から阪神ファンを50年近くやっていますが、この日本シリーズはソフトバンクさんに圧倒されましたね。完敗だと思います。

 ホームの甲子園で一つも勝てませんでした。残念ですがあまり不思議とも思いません。「いつもの」甲子園で負ける時のパターン、後攻なのに受け身の試合運びになってると感じてしまったので。具体的には先制できても最少得点でノックアウトできないんです、阪神って「良いピッチャー」に当たるとね。1点取ると安心してしまうのかなぁ。タイトな試合運びというか、投手戦になりがちなんですよ。最少のリードで対戦相手の攻撃を耐える「受け」をやっちゃうんですよね、スタジアムが広いので主導権を与えちゃうんです、昔っから。1985年の日本一の時は別物でしたけれどね。単純なハナシですがラッキーゾーンがあったので点が入りやすかった。投手のラインナップとしては大したことなかったけれどバース、掛布、岡田のクリーンナップに真弓までいる四天王が揃って結果を残した圧倒的に打ち勝つ野球だったので安心できたというか。なので戦力が安定しなかった翌年以降優勝すらできなくなりましたし長い低迷期に入りました。野球ってシンプルなのでリードしているチームが圧倒的に有利で勝つ確率が高いですから。

 そういう「勝てばいい」的な試合をずーっと見続けているので、観ている方は常に不安に駆られるわけです。勝ちパターンと負けパターンがハッキリしているので。ではラッキーゾーン復活させればいいんじゃないのという話は常にありますが、点が入りやすくなるという意味においてはあまりメリットはないと思います。実際にソフトバンクの選手はホームラン打てているので。

 一昨年、岡田監督の就任一年目に38年ぶりに日本一に輝きましたが、立役者は誰かと問われれば木浪です。異論は認めません(笑)8番バッターとして驚異的な結果を残しましたからね。岡田さんはどれだけの結果が出ても木浪を8番から動かさなかったので。打線として機能すること、つながりを優先しました。そういう意味においては攻撃的なチームと言えましたから。今年の日本シリーズでの阪神の得点数は2、1、1、2、2、5試合で「僅か8得点」です。勝てるわけがありません。対するソフトバンクさんの打線は柳田、山川、近藤健、パ・リーグで4番を打てるプレーヤーが揃ってシリーズに間に合ってしまい、間に合ったというだけでなくシーズン以上の成績を収めてしまったわけでプレーヤーの「格の違い」みたいなものを痛感させられたシリーズでもありました。周東がフルスイングでフェンス際までの大飛球を放ったり、レベルアップが凄いので。代表候補に必ず呼ばれる選手ですし。そのチームがCSファイナルでもなかなか勝てなかったように「リーグのレベル差」みたいなものもありましたし。何より初戦を落とした後のソフバンの打撃陣の気迫のこもった眼力を感じました。チーム造りに惜しみなく資金を注ぎ込んだ結果でもあります。柳田クラスはメジャー目指しても止む無しレベルでそれを高額長期契約で翻意させたので。それらのプレーヤーの徹底した「チームバッティング」も称賛に値すると思います。

 強いて言うなら初戦村上を「引っ張って」勝てたあの判断ができたのに、なぜ丸っきり合ってない大竹を「引っ張れなかった」のか、私の持論は「打たれてない先発を安易に代えるな」なんですけど。まだそこまでの勘所がないのかなあ。あと勝利監督インタビューって止めた方がいいかな、システム的に。それでなくても藤川さんはインタビューで余計なことを言うタイプ、言った通りの試合運びになったのは「相手を焚き付けたから」かも知れません。

 同時期にワールドシリーズもやるので映像を見てしまうと、観客のゲーム観戦の仕方もそろそろ考えた方がいいかも。声援やヤジの「ノイズレベル」と実際に現地観戦して実感する「鳴り物入りの大合唱の騒音」では打席での集中力に差が出ると思います。いつも思いますよ、よくアレを浴びながら打てるなあって、アレなかったらもっと打ててるんじゃないのって。メジャーのお客さんはリラックスして試合観てるし、投げる方も打つ方も力みがないですよね。実際に生で観ると解りますが、150km/hを超えるストレートや140km/h近い変化球を「見極めて打つ」のって「曲芸レベル」なので。同じことを継続して取り組む「鍛錬」の賜物なんですよね。集中力を削ぐかも、ということに気づいた方がいいんじゃないかな。プレーヤーの立場では「ご声援ありがとうございます」としか言いようがないですからね(笑)ベンチからのヤジですら、気にするプレーヤーは気にするので皆ベンチから声出ししてるのでね(笑)当事者が一番知ってるんで、何を言われたくないか(笑)

 ドラフトでいい選手が獲得できたので、もっといいチームになれるんじゃないかと思います。来年は何試合観に行けるかなあ。辛辣なことも書きましたが、プレーヤー、監督コーチングスタッフの皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。


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