日本は四方を海に囲まれた島国なので簡単に出入国することができない国です。それでも日本に来る外国人が後を絶ちません。遠い東の果てを目指して。
第二次世界大戦の終戦から80年が経ちます。敗戦国の日本が復興を果たし驚異的な経済成長を経て世界屈指の経済大国となったことはご承知かと思います。そういう字面的な側面からも、この国に夢を求める外国人の方がいても何ら不思議ではないと思うのですが、何なんでしょうね昨今の風潮は。
世界的に日本がどう語られているか、日本国内にいる私が知る由もないのですが、何となく想像はつきます。豊かな国、治安が良く平和な国、著しく高齢化が進んだ国、漫画・アニメ文化等々。あまりネガティヴな印象はないと思いたいのですが。
ここに来て潮目の変化を感じます。政治的な発言によって。
参〇党という新興政党の神〇さんという代表の方が、日本人ファーストという言葉を使いました。別に摩訶不思議なことを言われているわけではない、日本という国においては、国民とは日本人であり、日本国籍を持つものですからね。しかし、そういう意味ではありませんでした。行き過ぎた外国人受け入れに反対するというものです。
行き過ぎた、とは誰が判断するのだろうか。直近ではこう仰っている。もう移民受け入れは止める、と。日本で働く外国人の方が甚く気に入らないらしい。その方々は多岐に及んでいる。コンビニエンスストアの店員さん、土木建設業の方、ごみ収集作業の方、介護福祉分野の方、宿泊業、飲食サービス業の方、小売業の方、製造業につく方。日本企業において外国人労働者の方は貴重な労働を担っています。当初はITの分野でも台頭されていましたね。その他、金融、投資部門の方等々。
それは行き過ぎているから止める、と。日本人が優先で、日本人を大事にすべきだと。これ以上日本を壊すなと。日本人には尤もらしく聞こえる耳障りの良い言葉かもしれません。しかし彼らは果たして日本を壊しているのか。日本人を大事にしていないのか。日本人を優先していないのか。一体誰に雇われて日本で働いているのか。
彼ら、そして彼らの支持者はこうも言います。外国人に生活保護を受ける権利はない、と。彼らは勤労者であり納税者です。生活保護とは税による社会保障の一つですよね。義務を果たして権利はないと言う。では生活保護を受ける日本人は義務を果たしているのか。労働の義務そして納税の義務を。またこうも言うのです。生活に困窮するなら自国に帰れ、と。生活に困窮する日本人には手を差し伸べて、外国人は出て行けと。日本国憲法にそう書かれていると。働かない納税もしない日本人でも人として最低限度の生活が保障されているが、外国人は別だ、と。そのような外国人の扱いをすべきと憲法のどこを読んでも一切書かれていないにも拘わらず。
それこそが日本人ファーストだ、と。実に情けない、情けなさ過ぎる話です。
人手が足りていないから、人手不足で企業が倒産する時代だから、彼らの労働力が求められているのですけれどね。そういう企業であっても止む無く事業を畳むことだってあるでしょう。誰だって職を失う可能性はあります。日本人はいくらでも保護して、外国人は帰国せよと。
どのような教育を受け、どのような経験を積み、どのような思考でそのような人格を備える人間になれるのか。まあ、そういう扱いをすれば、外国人の方は日本に来なくはなるかもしれません。
それで日本経済は回りますか?
目先の話をすれば、これから超高齢化社会の日本でさらに高齢者の割合が増加します。そして日本は少子化社会でもあります。社会保障を維持する納税者の割合が今より減ります。そこまで確実に見えています。にも拘わらず、数百万人単位の外国人労働者は要らないという。日本人に彼らの担った労働が出来ますか?誰がやるんですか?出来るのなら既になさってるんじゃないですか?
日本の失業率は極めて低い水準だから、と仰るかもしれません。ここに一つの統計を示します。
東京都の労働力調査(令和5年度)
「総人口」に占める男性の就業者数
25~34歳90.9%
35~44歳94.5%
45~54歳93.8%
55~64歳88.7%
非就業者数計31万6000人
(令和6年度)
25~34歳92.2%
35~44歳93.5%
45~54歳93.7%
55~64歳87.4%
非就業者数計33万2000人
求職活動をしていない失業者は失業率に反映されません。一番仕事がありそうな東京ですらこの数字です。ちなみに令和6年度の東京都の労働力人口(男性)はおよそ470万人です。就業率は何パーセントになりますか?計算してみてください、暗算で出るでしょうから。失業者数に対して非就労者数の割合は何パーセントになりますか?
男性の数字だけを示したのは、女性は妊娠出産その他の要因により就労率が下がりますし、就労状況は不安定になります。非正規雇用率が男性よりはるかに高く、相対的に賃金も低いからです。
その状況下で、外国人にNOを突き付けているのが参〇党であり、神〇代表です。ナンセンスと言わざるを得ません。こういう言説を一般的にはポピュリズムと呼びます。繰り返しますが、外国人労働者を排除して、排除するとは言いませんよ、これ以上の流入を止めて、その代わりを非就労者たる日本人が担えるのだと、本当にそう思いますか?それで日本が、日本人が豊かになりますか?これから先、高齢者の割合はさらに上がり、労働者は大幅に減少しますが、その思考で日本社会は維持できますか?その現実を見ずして外国人の方を貶める方々を、私は排外主義者と呼びます。
よく考えてから、SNSなりなんなりに投稿してください。