我が家の愛犬、Cocoが体調を崩したのは昨年10月の初めのこと、少し腎臓の数値が良くなかったので、ロイヤルカナンの腎臓サポートセレクションを与えていたのですが、まるっきり食べなくなりました。もともとそんなに食いつきが良いと言うわけでもなかったのですが、食欲は皆無に等しく、大好物のサツマイモにも見向きもしません。嘔吐などの症状はなかったのですが、8歳と半年を過ぎてシニア犬の仲間入り、動物病院嫌いの妻はもさすがに心配になって、検査を受けに行くことにしました。
検査項目 | 基準値 | 検査結果 |
白血球数(WBC) | 60~150 | 140 |
総ビリルビン(BIL) | 0.1~0.6 | 1.2 |
GPT(ALT) | 10~118 | 125 |
アルカリホスファターゼ(ALP) | 20~150 | 223 |
リパーゼ(LIP) | 10~160 | 98 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) | 1.0~10.0 | 15 |
CRP | <1.0 | 0.6 |
血液検査と念のためエコー検査をしてもらったところ、肝臓疾患の疑いあり、黄疸も出ているとのことでした。脱水も起こしているので毎日皮下輸液をして様子を見て、2日後再検査をすることに。
検査項目 | 基準値 | 検査結果 |
白血球数(WBC) | 60~150 | 213 |
総ビリルビン(BIL) | 0.1~0.6 | 5.2 |
GPT(ALT) | 10~118 | 91 |
アルカリホスファターゼ(ALP) | 20~150 | 436 |
リパーゼ(LIP) | 10~160 | 729 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) | 1.0~10.0 | 12 |
CRP | <1.0 | 5.9 |
血液検査の結果は明らかに異常値を示していました。白血球高め、肝臓の数値が高く、膵臓の数値も高め、炎症反応も出ていました。特にリパーゼとCRPが跳ね上がりました。急性膵炎との見立て、余命1カ月と告げられたほどでした。
本来ならば即入院となるところなのですが、預かっている間になにかあっても責任は持てません、とにべもないお言葉。一縷の望みはフザプラジブナトリウム、ブレンダZという薬です。これを5日間連続、静脈注射で投与します。効くか効かないかは打ってみないとわかりません、1ショット¥30,000しますが大丈夫ですか?と訊かれました。Cocoの命には代えられません。その治療法でお願いします、と頭を下げ、その日からブレンダZの投与による通院治療が始まりました。
色々と調べたのですが、腎臓サポート食を与えていたのが良くなかったみたいです。低蛋白・高脂肪で、慢性腎不全というわけでもなかったのに予防的に与えていたのが裏目に出た格好です。以前Floraという猫を飼っていて、慢性腎不全に罹り、ロイヤルカナンの療法食を与えていたんですが、じきに食欲廃絶に陥り、医師からは慢性膵炎が疑われるが、治療法はないと告げられた、その経験がまったく活かせてませんでした。腎臓療法食を予防的に与えるべきではありませんでした。
高蛋白食は腎臓に良くなく、高脂肪食は膵臓に良くないんです。では、なにを与えるべきだったのか、答えはありません。
ブレンダZを3回打って、それまでぐったりしていたCocoに変化があらわれ始めました。妻の後をついて歩き回るようになったのです。私は、試しに大好物のサツマイモを与えてみたら、と促しました。ほんの少量だけど、レンジでふかしたサツマイモを、ぺろりと平らげてくれました。それまで1週間近く絶食状態だったので、これは嬉しかったですね。急に増やしてもどうかなと思ったので、それで止めておいたんですけれど、なにせ食欲が戻るのは良いことです。吐き気も下痢もありませんでした。
翌日4回目を打ち、休診日に入ったので5回目と6回目は皮下輸液で投与しました(それでも効果はさして変わらないとのことです)。そして休み明けに血液検査を受けました。
検査項目 | 基準値 | 検査結果 |
白血球数(WBC) | 60~150 | 179 |
総ビリルビン(BIL) | 0.1~0.6 | 2.2 |
GPT(ALT) | 10~118 | 78 |
アルカリホスファターゼ(ALP) | 20~150 | 922 |
リパーゼ(LIP) | 10~160 | 118 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) | 1.0~10.0 | 14 |
CRP | <1.0 | 3.4 |
膵臓の値、リパーゼの値は正常値に戻っていました。白血球や肝臓、炎症反応など他の数値は変わらず高いままだったけれど、先ずは一安心、峠を越えたといったところだったでしょうか。
さて、問題は食事です。鳥のささみが良いとなっていたので与えてみました。少量だがぺろりと平らげてくれました。サツマイモも変わらず食べます。しかしこれだけでは足りないだろうと思い、ネット検索で一番に出てくる、Dr.宿南のキセキのごはん 犬用療法食 膵臓の健康サポートのサンプルを取り寄せてみました。
見向きもしません。無香料、無着色で嗜好性が低いのでしょう。
試しに、鳥のささみを茹でたものを混ぜて、ゆで汁をかけて与えてみました。すると食べてくれました。嗜好性が低いだけで、味はそれほど悪いというわけでもないのだろう、と思いました。病院でいただいたロイヤルカナンの消化器サポートのサンプルにはソッポを向いてしまいました。腎臓サポートとおなじ、独特の風味が嫌なのでしょうか。
意を決して、Dr.宿南のキセキのごはん 犬用療法食 膵臓の健康サポート 1kgを購入してみました。かなりお高いけれど、食べるものを与えるしかないです。鳥のささみと、ときにはサツマイモと、膵臓の健康サポートを混ぜたご飯を食べてくれるようになりました。
検査項目 | 基準値 | 検査結果 |
白血球数(WBC) | 60~150 | 190 |
総ビリルビン(BIL) | 0.1~0.6 | 0.7 |
GPT(ALT) | 10~118 | 486 |
アルカリホスファターゼ(ALP) | 20~150 | 643 |
リパーゼ(LIP) | 10~160 | 245 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) | 1.0~10.0 | 26 |
CRP | <1.0 | 1.3 |
病院での皮下輸液は2日に1回のペースに落としていました。そして血液検査、膵臓の値が正常値を少し超えました。他の値も少し超えたまま、炎症反応の数値だけが下がっていました。慢性膵炎に移行したのかもしれませんね、と先生は仰いました。カモスタットという膵臓の薬とリバガードという肝臓のサプリメントを2週間分処方されました。皮下輸液は3日に1回くらいでいいとのこと。療法食と薬が効いて、せめて膵臓の値だけでも正常値に収まってくれればいいのですが。なにせ食べてくれているのが一番です。
検査項目 | 基準値 | 検査結果 |
白血球数(WBC) | 60~150 | 114 |
総ビリルビン(BIL) | 0.1~0.6 | 0.4 |
GPT(ALT) | 10~118 | 131 |
アルカリホスファターゼ(ALP) | 20~150 | 301 |
リパーゼ(LIP) | 10~160 | 74 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) | 1.0~10.0 | 20 |
CRP | <1.0 | 1.0 |
さて、2週間が経過して、再び血液検査です。カモスタットの投与を2週間続けた結果、膵臓の値が正常値まで戻りました。黄疸の症状も収まり、もう輸液に通う必要も無いということで、次の診察は一カ月後になりました。カモスタットは中止してみないと、慢性膵炎なのかどうか判断がつかないという、ちょっと釈然としない理由だけれど、投与は中止になりました。肝臓の数値はまだ少し高いので、リバガードの投与は続けることになり、1カ月分のリバガードを処方してもらいました。
まあ、すっかり元気になりました。食欲も旺盛だし、よく遊ぶ。散歩も無理のない範囲で再開しました。6㎏あった体重が5.3㎏と戻らないのが気掛かりと言えば気掛かりなんですが、先生の見立てからすると、ちょっと太り気味だったのかもしれません。スマートなほうが体への負担も少ないだろうし、多く食べさせ過ぎると吐いたりするので、無理には食べさせられない。膵臓の健康サポートも口に合うのか、鳥のささみやサツマイモをトッピングすると、よく食べてくれます。さすが高いだけのことはあります。そこで、定期購入に踏み切りました。
初めは1㎏を20日おきにしていたんですが、Cocoの食欲に応じて徐々に増やしていき、いまでは3袋を25日おきで届けてもらっています。まあよく食べること、夕食時は必ずおかわりをねだってきます。1日100gは食べますね。それだけ美味しいということなんでしょう。時々食べ過ぎて吐いたりしてますけど、こればっかりはしかたがないです。
検査項目 | 基準値 | 検査結果 |
白血球数(WBC) | 60~150 | 104 |
総ビリルビン(BIL) | 0.1~0.6 | 0.1 |
GPT(ALT) | 10~118 | 81 |
アルカリホスファターゼ(ALP) | 20~150 | 131 |
リパーゼ(LIP) | 10~160 | 53 |
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT) | 1.0~10.0 | 6 |
CRP | <1.0 | 0.6 |
年明けの血液検査では肝臓の数値も正常値の範囲に収まりました。リバガードの投与も中止してみましょう、ということになったのですが、中止してまた悪化したら意味がないので、ネット通販でお取り寄せして、毎日与えています。元気もすっかり回復して、絶好調です。毎日1時間は散歩に出ています。次の通院の予定もありません。念のため2カ月に1回は検査してもらおうかな、とは思っています。
ブレンダZの投与が功を奏したわけですが、評判によると、効く場合は劇的に効くし、効果がない場合はサッパリなようです。なによりも急性期にしか効果がないみたいなので、ちょっと食欲がないな、とか、吐くことが続いたりとか、下痢をしていたりしたら要注意!早めにかかりつけ医に診てもらったほうがいいです。慢性化したら大変ですよ。
急性膵炎は命にかかわる危険な病気です。そして、そのサインを愛犬は少ししか見せてくれないかもしれません。治療費も高額になります。ですので飼い主さんは気をつけてくださいね。定期的な健診もお忘れなく。
以上、愛犬Cocoの急性膵炎治療記でした。