地理図

 幼少期、書棚に隙間無く並べられた百科事典を読む様親に躾けられた。漫画雑誌の類は一切。親父の趣味ののらくろシリーズが収められて居る位。ゐ、ゑの振り仮名を如何読んだら良いのか戸惑って居ると親父が

 「中々面白いやろ」

 面白く無いとは言えず。百科事典に手を伸ばすも花も動物も興味が無かった。

 唯一の好奇心は地理の図鑑だった。各都道府県の市町村分布や人口等。直ぐ47都道府県や県庁所在地を覚えてしまい、祖母に披露すると褒めて貰えた。

 何の得にも成らないが。広大な面積に人の住まわない村、狭小な土地に人が密集するベッドタウン、単純に面白かった。同じ地名を見つけて「郵便屋さんは困らないの」と不思議に思った。東京と広島に府中市がある事を知っている小学校低学年は稀だったかも知れない。何の得にも成らないが。

 地元の新聞に載るスキー場の積雪量を見るのが好きだった。未だ豪雪の記録が或る頃。関燕が500cmを超える瞬間を毎日追う変な子供。他のスキー場は山間部に在り、関燕は違う事を理解して居た。

 外国編も見たが。然程興味は。

 祖母の家にはゼンリンの住宅地図が何冊も有り。広い道を広く、細い道は細かった。縮尺迄正確という理解。建物の形迄再現されて居る事に俄然興味を覚えた。番地迄の表記、其処に誰が住んで居るか等。高価な地図を根元から折って広げた。高い事は理解して居たが、どの位高いかは理解して居なかった。犀川に架かる橋を下流から上流へ順序迄正確に披露したが、手取川には興味が無く。

 勿論Googleマップ等無かった時代。次頁を上下左右辿った。

 鉄道路線図は断然。乗り物酔いするから列車のディテールには全く。線路のみ。家に有る唯一のボードゲームはチャレンジ20,000kmだったが、友達が持つ人生ゲームの方が好きだった。

 国鉄がJRに成り。市町村は合併。趣を削がれた。聞いた事の無い地名は未だに入って来ない。高校の選択科目で地理を履修するも知識が全く活かされず落胆。

 仮面ライダーもガンダムもピンと来ず。ごっこ遊びは必ずキレンジャー。下品なカレーの食べ方を軽蔑(笑)

 何を突然長々と。

 明日研修で走るコース図を作って居て。此処迄鮮明に思い起こされるとは。驚いて居る。


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