声が大きいワケ

 大人しいとか粗雑とか、そういう話じゃねえからな。

 俺が運送をやったきっかけって、航空貨物搬送なんだが。

 貨物専用機?とか連想するかもしれない。それは実存するけど、一般的には旅客機の客室の下。俺がやってた頃はジャンボ、トリプルが主流の時代やから、今どうかって言われるとよくワカランが。

 1tとか2tとか積めるコンテナをリフトで上げて搭載するんよ。30~40くらい収まるんかな。機体がバランスを失わんように、ちゃんと配分して。それは本社が責任もってやるんだけど。OKAとかコレ以外に輸送手段ないしな(のんびり船便がないとは言わんけど)

 タグ車でコンテナを牽引して、機側で搭載する。人の手でできるように、コンテナがローラーで転がるようになってる。ドーリーいうんやけど、古いのは錆びてしまってるからタイヘン。まあ普通にスタックした乗用車を路側へ押すのより数倍は大変。それを一日何十とやる。

 そういう肉体面だけじゃなく、牽引する技術とか、機側でのギリギリの作業とか。研修中に体で会得しないと繰り返し正確に実践できない。まさに「体に叩き込む」。駐機場てウルセエから。できなきゃ「おせえよ!なにやってんだ!!」隣りから大声の罵声を浴びる。遅いだけがモンダイなら簡単。早くてもダメ。

 リフト車にドーリーを付ける技術の話な。嵩物載せるパレットいうのもあってそれは更にムズイ。北海道とか沖縄でツーリングのバイクとかな。もっと普通の貨物もあるし。

 離島はそんなデカい機体飛べないからバラ積み。時間ない中で汗だくの作業。機体にバックで貨物車つけたりするから当然誘導するし、指示通りに運転できんかったり誘導がミスったりでも終わる。

 00,000,000の責任感ていえばわかりやすいか。

 停める、運ぶ、切る。牽引てのはそういう作業。切ったら車止め。タグ降りても車止め。指差確認。ガチで指を差すし、大声でだしな。サイドのノッチなんか信用ならんし。タグ自体が小さいのにかなり重量あるからな。安全、スピード、技術。全て求められて俺ら下請けは聞いたら驚くくらい安い。

 三交替、作業中は水分補給禁止。俺らは檻の中だったが、塀の中と変わんねーんじゃね、シランケド。

 夏はコンクリの照り返し。土砂降りの最中の作業。凍てつく冬の早朝。明け勤の昼前の上がり直前が死ぬほどキツい。

 自負以外の何もない世界。

 ITから転職して入った。面接で何回も「できる?」って訊かれたな。できるかどうかじゃなく。やるかやらないか、そんだけ。途中で車通勤を申請したのは目ぇ覚めたらまた空港かよ、てのが嫌だったから。

 確認確認ってウッセーんだよバカが(笑)


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